カロリーナ・コストナードーピング騒動の流れ 2014
2014年11月28日、イタリアオリンピック委員会(CONI)のアンチドーピング検事局が
フィギュアスケートの
カロリーナ・コストナー選手について、
4年3か月の活動停止処分を裁判所に求めました。
長期間にわたる非常に厳しい処分ですが、
検事局は、その理由を、
「2012年7月末、オーベルストドルフ(ドイツ)で、 (元恋人の)シュヴァーツァーがアンチドーピングの検査を回避するのを幇助し、 また、検査官に協力せず、重要な状況報告を怠ったため。」としています。
ドーピング検査で陽性になる場合とは違い、
処分は、判決の日から数えるため、過去に遡ってソチオリンピックの銅メダルを取消にすることはないとのことです。
事の発端:ロンドン五輪 2012年7月そもそも、事の発端は、ロンドンオリンピックが開催中の2012年7月末にまで遡ります。
ロンドン五輪の競歩に出場予定だったコストナー選手の元恋人である
アレックス・シュヴァーツァーがドーピング検査で陽性となり、
イタリアのオリンピックチームから追放される事件が起こりました。
コストナー選手の恋人として、爽やかでクリーンなイメージがあっただけに、
ショッキングな出来事でした。
恋人のドーピング違反を知ったコストナー選手については、
『コリエレ・デロ・スポルト』紙が、親しい人の話として、
「恋人のドーピングについては、全く知らなかった様子で、ひどくショック受けていた。」
と伝えていました。
詳しくは、 ・カロリーナ・コストナーの恋人、ドーピングで追放 ロンドン五輪 競歩 2012年8月7日 ・アレックス・シュヴァーツァー、インタビューで明かした心境 2012年8月8日 ・恋人のドーピング発覚にカロリーナ・コストナー選手は 2012年8月9日アレックス・シュヴァーツァーの号泣会見 2012年8月 ↑
アレックス・シュヴァーツァー号泣会見の様子直後、シュヴァーツァーは、インタビューで、
「一番になりたかったからドーピングをした。」「刑務所には入りたくない。」などと身勝手な発言をしていましたが、
2012年8月8日には、地元ボルツァーノで、号泣会見を開き、
ドーピングに至った経緯について、詳しく説明しました。
コストナー選手が練習拠点としていたオーベルストドルフのコストナー選手の家で、ドーピングを行っていたため、コストナー選手にも疑いの目が向けられましたが、
共同の冷蔵庫に保管していた禁止薬物はビタミン剤だと嘘をつき、
コストナー選手が外出中に、一人でドーピングをしていたと説明しました。
詳しくは ・アレックス・シュヴァーツァー、8月8日の記者会見のまとめ 2012年8月9日コストナー選手はシュヴァーツァーを見捨てなかった 2012年8月 2012年8月20日、カロリーナ・コストナー選手自身も、会見を開き、
恋人のドーピング騒動について
「過ちを認めた勇気を尊敬している。」と語り、シュヴァーツァーに寄り添う姿勢を見せていました。
詳しくは ・ カロリーナ・コストナー「悪魔から解放された」 2012年8月21日シュヴァーツァーの処分が決まり、捜査の対象が広がる 2013年4月 それから4か月後の2012年12月20日、
イタリアオリンピック委員会のアンチドーピング検事局が、
最高4年間のシュヴァーツァーの資格停止処分を裁判所に求めると、
翌年の2013年4月23日に、
イタリアアンチドーピング裁判所は、2016年1月まで
3年半の資格停止処分を決めました。
シュヴァーツァー自身の処分が決まると次に、
シュヴァーツァーの
ドーピングに関与、隠ぺいした疑いのある人物への捜査が本格化しました。
2013年6月には、シュヴァーツァーを幇助した疑いで、
イタリアオリンピック委員会やイタリア陸上連盟にも、
カラビニエリやイタリア警察の家宅捜索が入り、世間を騒がせました。
陸上連盟所属の医師らが事情聴取や捜索を受けたほか、
今年2014年1月には、
コストナー選手も、他のアスリートやコーチらと共に、捜査の対象に名前が挙がりました。
シュヴァーツァーとの破局 2014年5月そんな中、5月に行われたイタリアスケート連盟のイベントで、
コストナー選手は、シュヴァーツァーとの破局を宣言。
「アレックスとは連絡をとっているけど、彼とは終わったわ。」翌6月には、フェイスブックで今季の休養を発表。
スケートはアイスショーでの活動のみ、大学や友人との時間に専念することを発表しました。
イタリアの雑誌『Vanity Fair』では、
「人生とは何かを学びたいの。これまでは、決められた人生だったから。」と話しています。
詳しくは ・Pattinaggio, Kostner: "Mi fermo, per me anno sabbatico" ガッゼッタ・デロ・スポルト紙(イタリア語)コストナー選手も事情聴取に 2014年9月 すると、コストナー選手は、9月に、アンチドーピング検事局から出頭を求められます。
コストナー選手が問われていたのは、
シュヴァーツァーのドーピングの隠ぺいや幇助で、
有罪となった場合、3年半の活動停止を受ける可能性があると、
イタリア各紙が報道しました。
コストナー選手は、9月26日に、ローマのアンチドーピング検事局に出頭し、
弁護士同伴で、約4時間にわたる聴取を受け、
10月13日にも、ボルツァーノの検察庁で、非公式ながら、10時間にわたり、事情の説明を求められたようです。
検察側の見解では、
7月にアンチドーピング検査員が、シュヴァーツァーの抜き打ち検査のため、
オーベルストドルフのコストナー選手の自宅を訪れた際、
シュヴァーツァーは、家の中で朝食をとっているところだったにも関わらず、
コストナー選手は、シュヴァーツァーがその場にいないと嘘をつき、検査を回避させたとされています。
詳しくは ・カロリーナ・コストナーが大ピンチ 婚約者のドーピング事件で 2014年9月17日 ・カロリーナ・コストナー選手がドーピング違反の聴取を受ける 2014年10月3日 ・Interrogatorio fiume Kostner in Procura a Bolzano 10 ore! ガッゼッタ・デロ・スポルト紙(イタリア語)コストナー選手 4年3か月の停止処分のピンチ 2014年11月28日 これらの捜査の結果、11月28日、イタリアオリンピック委員会のアンチドーピング検事局は、
コストナー選手に対し、
4年3か月の活動停止処分を求め、
裁判所に判断を委ねたものと見られます。
コストナー選手のジョヴァンニ・フォンターナ弁護士は、
「カロリーナは、検察側の見解に驚いているが、 自身が無関係であることを証明する決意だ。」と『RaiNews24』のインタビューで述べています。
また、コストナー選手はシュヴァーツァーを愛するがゆえに、かばったのかとの問いに
「ドーピング違反を幇助した意図はなかったし、親告しない家族を罰する法律はない。」と話しています。
詳しくは ・Doping, caso Schwazer. Il legale della Kostner: "Lo ha coperto per amore" ガッゼッタ・デロ・スポルト(イタリア語) それにしても、ドーピング違反をした本人が3年半の活動停止で、
コストナー選手が4年3か月もの停止処分を問われるのは、なんだかモヤモヤしますね。
コストナー選手が裁判で無実を証明できることを祈っています。
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